【書評】
作者：行宗 蒼一
出版社：ダイヤモンド・ビッグ社
発売日：2015/12/19
テレ朝の「人生の楽園」という番組を始まった当初から見続け、国内、海外に関わらず、いつかはのんびり気ままに楽園生活を送りたいと願っているアラ還世代の私であるが、先日、この本が私の目に留まった。スペインどころか、ヨーロッパに足を踏み入れたこともないが、なんとなくスペインには、おおらかな良い印象がある。
本書は、元NHKのアナウンサーである著者が、事前の計画や準備もあまりしないままスペインへの移住を実行した体験記である。私のように、普段から頭の片隅に移住という言葉が張り付いている者にとっては、移住の際の色々なトラブルやそれらへの対処、心構えなど、とても興味深く読むことができる。ただ、スペインへの移住を具体的に検討している方々が、マニュアルとして本書を期待すると、詳細な情報はそれほど多くないので少々期待外れになるかと思われる。とは言え、年金ビザの話など、移住を考えるきっかけ作りにはなるかもしれない。
本書の中では、著者が感じた、スペイン人のいい加減ではあるが、人生を楽しむことを重視した生き方についての記述が多くある。もし自分がそれにふれた時、自分ならどう思い、住み続けたいと思うのか、心の底から嫌だと思うのか、そのあたりが移住に向いているかどうかの分かれ目になるのであろう。郷に入れば郷に従えで、スペイン人気質の中で楽園を見いだせるだけの心の余裕が私に残っているだろうか。。。
著者の移住の時期には、既にインターネットがある程度普及していたようだが、現在であれば、情報の量と質が格段に向上しており、著者が経験したようなドタバタは現在では少ないのかもしれないが、やはり、移住を楽しく成功させるためには、著者のようなバイタリティと、ケ・セラ・セラ（なるようになるさ）の気持ちの持ちようが大切なのであろう。私も、ケ・セラ・セラと思えるよう、まずは自分を変えていこう。
