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「アインシュタイン希望の言葉」/志村 史夫 (監修)

【書評】

「アインシュタイン希望の言葉」

 志村 史夫 (監修)
 出版社:ワニブックス
 発売日:2011/10/15


 本書は、天才物理学者であるアインシュタインの言葉を、応用物理学などを専門とする大学教授が翻訳、解説したものである。物理学の専門家でないと適切な翻訳ができない部分があるとのことで、その道の専門家が翻訳したようである。構成としては、アインシュタインの言葉を、まず本人が語った英語、または彼自身が母国語であるドイツ語で語ったものの英語訳で示し、その後に日本語訳、解説の順に記載されたものが100件超記載されている。

  私自身は、こういった名言集はあまり読まないのだが、立ち読みしている時に、アインシュタインの理論が元になって原子爆弾や原子力発電が生まれ、また東日本大震災では原発事故が発生した、そんな時代にアインシュタインの言葉が重みを持ってくるのではないか、という記述に目が留まり読んでみた。

  気になった言葉としては、「私たちの仕事を助け生活をより楽にしてくれるはずの応用化学が、どうしてこんなに小さな幸せしかもたらしてくれないのでしょうか。答えは簡単です。私たちは、まだ十分に、応用化学の本当の、思慮深い使い方を知らないからです。」とか、「私は、自然については少し理解していますが、人間についてはほとんど理解していません。」など、天才にもかかわらず謙虚な姿勢を表したものである。その反面、「あなたは私にとって、これまでの全人生よりも重要です。」といった好きな人への言葉をみると、人間味も感じることができる。

  天才物理学者であるアインシュタイン自身が、科学には厳然たる限界があり、過大評価すべきではないと言い、さらに自然の法則は人智をはるかに超えたものであり、そこから宗教的な感情が生まれるといった趣旨のことも言っている。天才の言葉は、重い。

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