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「日本でいちばん小さな出版社」/佃 由美子

【書評】

 「日本でいちばん小さな出版社」

 作者:佃 由美子
 出版社:晶文社
 発売日:2007/05/01



 私自身は、自分の本を出したいという願望(もしかして、印税生活?)はあるが、特に出版社になりたいわけではない。ただ、知らない業界を覗いてみたいという気持ちで本書を手に取った。本書は、幸運にも大手取次の口座がとれたのは良いが、出版社という未知の世界に足を踏み入れたがために、数々のトラブルやハードルにみまわれながらも小さな出版社として成長していく体験記である。

 元々、小さいながらシステム開発等の会社をやっており、それと並行して出版社を始めているので、リスクを最小限に抑えながら、ゆっくりだが着実に成長していく様がうかがえる。その過程が色々と紹介されているが、その都度、根拠を持った独自の判断がなされており、大きな会社での大きな判断とは違う面白みも感じた。

 全体を通して思うのは、本人が一番楽しそうであるという点である。表現の仕方かもしれないが、トラブルにあっても明るく前向きに対処しようとし、また時にはうまく忘れることで前進し続けているように感じる。こういう明るくエネルギッシュであるが、上手に肩の力が抜けている感じの女性には、取次口座開設といった、ある意味ラッキーな話が自然と持ち込まれるのではないかと思う。本書の中でも、「人間いつ死ぬかわからない。そう思ったら、嫌なことに人生を費やすのはやめようという気になる。」と書いているが、この開き直りが本人のバイタリティと組み合わさって、色々なことが好転しているのであろう。自分の好きな本作りに熱中できている著者をうらやましくも思った。

 ところで、なぜこの本は、自分の出版社から出さなかったのだろうと思ったが、その答えはこの本の最後に書かれていた。なるほど。

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