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「ウドウロク」/有働 由美子

【書評】

 「ウドウロク」

 作者:有働 由美子
 出版社:新潮社
 発売日:2014/10/30



 本書の著者は、言わずと知れたNHKアナウンサーの有働さんである。本書の“はじめに”の書き出しのところで、「ウドウロク(有働録)は、逆から読むと、クロウドウとなる。」と書かれており、その時点でこの本は面白いに違いないと直感したが、その通りであった。

 紅白歌合戦の生々しい舞台裏の話や、ニューヨーク特派員時代の苦労話といった、ついつい興味をひかれるような話だけでなく、アナウンサーならではの言葉の重みに関する話など、読む側も考えさせられるようなテーマも多く、あっという間に読み終えてしまった。下ネタを含む軽く面白いネタと、色々と考えさせられる重いネタがバランスよく入ったエッセイであり、著者本人のバランスの良さから来ているのかと感じた。また、著者本人も自分は不器用な人間なので、と書いているが、その不器用さを素直に表に出しているところに好感が持てた。

 先日、NHKの人気アナウンサーの結婚報道の際に、“第二の有働アナを育てる”うんぬんという記事を見た。今やNHKを代表するアナウンサーである著者のオトナの女性としての思いにふれるだけでなく、“クロ”有働らしく、各種テーマについて気持ちよくぶった切っており、テンポよく読み進めることができる。

 40代になって外食が減り、回りが結婚して相手をしてくれる人が減って、と書いているが、アラ還世代の私からすると、是非飲み友達の一人に加えたい方に間違いない。本書を読み終えて、そう思った。

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