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「K」の書評

K のおススメ

東京生まれで、文藝同人誌《氷魚》同人。子供はふたり。これまでに経験した仕事は、大掃除のガラス磨き、伯母さんの家の草むしり、引越し、本屋さんの店員、バーテンダー、IT関連(?)の調達、経営企画、生産管理、営業。すきな花は、フリージア、トルコキキョウ。すきなスパイスは、カルダモン。すきなもの、お日様。すきな味、昆布だし。また、牡蠣ソース。すきな肌ざわりは洗いたての浴衣、はいりたてのお布団。すきな音響、大晦日のしずかさ、お正月の空、ヴァイオリン。いまいますきなたべものは、カレーライス。あるいは、前菜的なたべものなど。この十年間、すべきことに着手しないこと、その結果人生がとても単調なことが悩みです。お世話になったひとや友人へご無沙汰してしまっていることも目下の悩み。

本ページの目的と前提 :アラ還世代の耽読生活。

(※以下、よみづらい内容です。とばしていただいて問題ございません。)

まい年夏になると、ノスタルジックなそらと緑の田園風景とともに、まるで風物詩であるかのように本屋では文庫本の販促が行われます。各出版社古典からベストセラーまでを選りすぐり、「読書は青春のたしなみ」といったポップがさらされ、そうとはいっても年輩者は本をよまないかといったらそうではなくて、その層はほうっておいてもよむからあえてそういう文句になっているのだとおもわれます。
あるいは、きっと生活や仕事に忙しいから、耽読するひまがとれないということはあり得る話しだとおもわれますが、(じつは自分はそうです、)それにしても、読書にたのしみや意味をもとめるのであれば、実態として年輩者にこそそれらは豊かに感受されるといった事情もあるのではないでしょうか。

たいがい、蒸留された魂のような表現者が傑作をものにする絵画、書道、俳句でも、天才が残存する若いころに、その代表作のおとずれる傾向にある音楽や小説でも、それら作品に接する本質は「感動すること」とすこし乱暴に踏まえたとき、ひるがえって、感動はさまざまな知見や思想をそれみずからを触媒とし生成されるものだという経緯もあるわけであって、知見や思想を育みつづけ、なんらか自分本来の表現を行うことを人生としたとき、それでは、感動することは青春の特権であるかといったら無論そうではありません。

たとえば、本とは、どういういきさつでよまれるものか? 読書とは? といったとき、ひとつの言葉なり、文脈なり、また登場人物の性格なりへ込められた物語へ感情移入すること、その物語のかたちへ沿うように心をうごかすこと、そのように、ここではひとまず定義いたします。文章表現のなかへ固有の物語を発見することは、自分の人生に埋没したとある出来ごと、あるいは感情をおもいだすことであり、直感的であろうとする絵画や書道、俳句といったものがたしかに経験のなかでより直截に感受されるものであるにしても、一方、読書という形態はその動機のありかた自体が論理的であろうとするからこそ経験の総量にしたがいより広く、深く、また真摯に鑑賞されるものだとそうおもっております。
勿論、経験とは一期一会的な側面をそなえているものであります。だから、これは若いころの読書を否定するものではありませんし、感情移入した自己が読書体験を再現する仮想の未来をもち得やすい、年少者特有の読書体験というものがあることも認識しております。ただ、若者が多感なように、年輩者もまた多感な瞬間をもち得るということ、その特異性をつねづね考えていたく、この指摘が本ページの前提になるかとおもっております。

ですから、ここでの書評はその表現者の技巧や価値に拠るのではなく、その技巧や価値に触れたとき、よみ手の心がいったいどのようにうごいたかを中心に書いていきたいとおもいます。(そのため、ときには書き手の自分語りが煩く感じられることもあるようにおもわれますが、それは正しく書き手の未熟でありますからどうかご容赦いただけたらとおもいます。)
本ページは、アラ還にこそ読書のある生活を推薦し、自分もまたそうした薫り高い読書を夢み、それらの一助となろうとするものであります。多くの方へ、そうした生活をいとなむきっかけ、あるいはヒントとなれれば幸いであります。

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