【書評】
五木 寛之
出版社:日本経済新聞出版社
発売日:2017/12/21
実家で一人暮らしをしている八十四歳になる母が、最近、佐藤愛子さんの『九十歳。何がめでたい』という本を読み、読み終わったあとには友達にも貸していたので、では、継続的に本を送ってあげようと思い本屋で手にしたのが本書であった。
「人生五十年」と言われていたのが、いよいよ「人生百年」という時代になろうとしている。そんな中で、著者は、百年人生を四つに分け、後半の第三期と第四期は「下山」の思想が必要であり、五十歳でいったん立ち止まって、これまでの人生、これからの人生をよく考えてはどうかと問うている。さらに、後半の五十年を生き抜くヒントとして、五十代から九十代まで十年単位で、それぞれの年代における生き方のヒントを与えている。本屋で、この目次を見て、これは自分にも、母にも使えそうな本だと思い購入したという訳だ。
まず、自分に当てはまる五十代について書かれている中で心に響いたのは、著者が引用した『茨木のり子詩集』からの一遍の詩「倚りかからず」である。部分的に再引用させていただくと、「もはやいかなる権威にも倚りかかりたくはない ながく生きて心底学んだのはそれぐらい じぶんの耳目 じぶんの二本足のみで立っていて なに不都合なことやある 倚りかかるとすればそれは椅子の背もたれだけ」という部分である。私も、五十代からの後半の下り坂をこの覚悟で進んでいこうと思った次第である。
もう一つヒントになったのは、七十代の章に書いてあったことであるが、カルチャーセンターや大学などに顔をだすなど、勉強のおもしろさを味わうなら、歳をとってから再度トライすべきであると言う点である。同じ内容のことを学んでも、以前は見えていなかったことが見えるようになるという。是非、チャレンジしたいと思った。
私の母には、何かヒントになるであろうか。まあ、それよりも息子から郵便で何かが届くだけでも何かのプラスになると思って、今から封筒を買いに行く。