【書評】
イアン ランキンが『どこかの国を知りたければ、ミステリ小説を読めばいい。的確な案内書だから。』と言っています。
スウェーデンの作家ヨハン・テオリンの「エーランド島四部作」で私も新たな世界を旅することができました。刊行順に紹介します。
『黄昏に眠る秋』
作者:ヨハン テオリン
出版社:早川書房
発売日:2013/3/8
霧深いエーランド島で、消えた幼い少年。母ユリアと残された家族は自分を責めながら生きてきたが、二十数年後の秋、少年が事件当時に履いていたはずの靴が、祖父の元船長イェルロフのもとに送られてくる。ユリアは、疎遠だったイェルロフと息子の行方をともに追う。
『冬の灯台が語る時』
作者:ヨハン テオリン
出版社:早川書房
発売日:2012/2/9
双子の灯台を望む「ウナギ岬」の屋敷に移住してきたヨアキムと妻、二人の子供。しかし間もなく、一家に不幸が訪れる。悲しむヨアキムに、屋敷に起きる異変が追い打ちをかける。無人の部屋で聞こえる声。子供の影。何かの気配がする納屋。死者が現世に戻ってくると言われるクリスマス、猛吹雪で孤立した屋敷に招かれざる客がくる。
『赤く微笑む春』
作者:ヨハン テオリン
出版社:早川書房
発売日:2013/4/10
エーランド島のコテージに暮らしはじめたペール・メルネル。ある日彼のもとに、疎遠にしていた父ジェリーから、迎えに来るよう求める電話が入る。渋々父の別荘に赴くと、そこに待っていたのは謎の刺し傷を負った父だった。そして直後に別荘は全焼。ペールは父の暗い過去を探りはじめる。
『夏に凍える舟』
作者:ヨハン テオリン
出版社:早川書房
発売日:2013/4/10
美しい夏のエーランド島で、リゾートを経営する富裕なクロス一族の末っ子ヨーナスは、海辺で過ごす二年ぶりの夏に心躍らせていた。しかしある夜、ボートでひとり海にこぎだした彼の目の前に、幽霊船が現われる。必死に陸に戻ったヨーナスは、元船長イェルロフのボートハウスの扉をたたく。少年から話を聞いたイェルロフは、不吉な予感を覚える。また、その少し前に、復讐を誓う男が島に帰りついていた。
全編、エーランド島の民話、エルフやトロールなど伝説をうまく絡めて、島の空気を感じさせてくれます。登場人物、特にイェルロフがいい! 4作目は前3作とは違う趣きですが出色です。でも順番に読んでくださいね。