【書評】
児玉 教仁
出版社:ダイヤモンド社
発売日:2011/7/23
まずこの本のタイトルが目に入り、次に著者紹介を見ると、有名商社に入ってハーバードMBA取得と書かれている。さらに中を少し見ると「ぐちゃぐちゃ言ってないで、リスクを取って、何かにチャレンジしなさい」と書かれていた。いわゆる自己啓発本ではないが、これは、自分には無い何かが書かれているかもと思い本書を手にした。
中身は、なんとアメリカの代表的なジャンクフードの一つであるバッファローウィングの料理コンテストに参加する実話であった。ただし、そこに至るプロセスが面白おかしく、かつ熱く書かれており、あっという間に読み終えてしまった。もちろん著者はエリートの一人であろうが、要領の良いエリートではなく、努力する才能と行動力を併せ持った、周りを巻き込んで元気にしていくようなタイプの人なのだろうと想像してしまう。
本書の最後の方で、「パンツを脱ぐ」の意味が示されているが、アメリカや国際社会で生きていくには、くだらないプライドを全て脱ぎ捨てて、素の自分、自分の情熱を臆面もなくさらけ出してしまう必要があると書いている。英語ができるとかできないとかよりも、自分の考え、情熱をとことんぶつける勇気が何よりも大切だということを伝えようとしている。また、それはハーバード・ビジネス・スクールでも同じで、要領の良いコメントを求められているのではなく、人の心を揺さぶるような言動が重要であるとのことだ。
私も若いころに、幸いにも米国に駐在する機会をもらったが、英語ができないことで自ら壁を作ってしまい、本当に不本意な駐在期間を過ごしてしまった経験があり、本書で書かれていることは、とてもよく分かる。ただ、その時に、この本を読んで、同じようにパンツを脱げたかと聞かれると、少し自信がない。やはり、パンツを脱ぐにしても、そのハードルの高さは人それぞれかもしれない。一つ言えることは、還暦間近の今なら、アメリカでパンツを脱げる気がする。